事例紹介

Case1 長男への事業承継に際し、父親(元社長)の保証を解除した事例

業種

不動産賃貸業

事例

父親が高齢のため経営の一線から退き、その配偶者である母親が代表を務めていた。
実質的な経営者となっていた長男へ株式譲渡する旨銀行に相談。
その際、父親の保証解除を申し出たが、経営者と法人との分離が不十分であったことから、銀行は保証解除に難色を示した。
しかし、過去の返済状況や担保等を勘案して検討した結果、ガイドラインの趣旨に沿って父親である元社長の保証を解除することにした。

ポイント

  • 過去の返済状況や担保等が十分である場合、経営者保証解除の可能性がある。
  • 経営者と法人との分離が不十分であると金融機関から保証解除に難色を示されやすい。
出典:金融庁「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集(令和元年8月改定版事例35より)

Case2 経営者の交代に際し、前経営者の保証を解除し、新経営者の保証も不要となった事例(1)

業種

自動車用部品卸売業

事例

当社はガソリンスタンドを主な販売先とし、業況は堅調に推移している。
経営者の交代の連絡をした際に、銀行から「経営者保証に関するガイドライン」に基づく経営者保証の見直しが必要な状況に該当する旨の説明を受けた。
当社は前経営者の保証を解除するとともに、新経営者からの保証も可能であれば提供せずに取引を継続したい旨の意向を示した。
銀行で検討の結果、以下のような点から、法人と経営者との関係の区分・分離が図られていること等を勘案し、新旧経営者から経営者保証を求めないこととした。

  • 事業用資産は全て法人所有である
  • 法人から役員への貸付がない
  • 一定の牽制機能の発揮による社内管理体制の整備が認められる(当社の代表者は内部昇進での登用が中心で、その親族は取締役に就任しておらず、取締役会には顧問税理士が監査役として参加するなど)
  • 法人単体の収益力により将来にわたって借入金の返済が可能であると判断できる
  • 財務諸表の他、銀行が求める詳細な資料(試算表等)の提出にも協力的である

ポイント

  • 金融機関から「経営者保証に関するガイドライン」に基づく説明がなされている
  • 金融機関の検討ポイントが明示されている
出典:金融庁「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集(令和元年8月改定版事例37より)

Case3 経営者の交代に際し、前経営者の保証を解除し、新経営者の保証も不要となった事例(2)

業種

貨物運送業

事例

当社は親会社グループの運送部門を担っており、グループ会社の商品搬送が主な業務である。
小規模だが営業基盤が確立されており、業績は安定している。
経営者の交代にあたり、銀行から「経営者保証に関するガイドライン」について説明し、新経営者から経営者保証なしの融資を希望された。
以下のような点を勘案し、新旧経営者から経営者保証を求めないこととした。

  • 法人と経営者との関係の区分・分離が図られている
    • 当社の経営者は任期が2~4年程度のいわゆるサラリーマン社長である。
    • 経営者から当社への出資や貸付金など金銭のやり取りはない。
    • 会社決定事項も組織的に決議されているなど、社内における牽制機能・管理体制が構築されている。
  • 親会社・当社ともに財務内容に懸念がなく、収益による償還能力も問題のない水準である

ポイント

  • 金融機関から「経営者保証に関するガイドライン」に基づく説明がなされている
  • 金融機関の検討ポイントが明示されている
出典:金融庁「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集(令和元年8月改定版事例38より)

Case4 高齢による代表者交代に際し、新旧経営者からの経営者保証が不要となった事例

業種

共通駐車券発行事業・商業ビルの管理運営

事例

前社長が高齢に伴い代表者交代の申出をし、その際、「経営者保証に関するガイドライン」に基づく保証契約の見直しを金融機関に申し出た。
金融機関の検討の結果、以下の通り法人・個人が明確に分離されていることが確認され、新旧経営者からの経営者保証が不要となった。

  • 当社は複数の企業の出資により設立された企業であり、所有と経営が分離されている
  • 営業資産はすべて法人の所有であり、社長への貸付も一切ない
  • 市が出資するとともに経営にも関与し、適切に組織運営が行われている。

ポイント

  • 前社長自ら「経営者保証に関するガイドライン」に基づく保証契約の見直しを金融機関に申し出ている
出典:金融庁「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集(令和元年8月改定版事例39より)

Case5 ガイドラインの要件を一部未充足だが、新旧経営者からの経営者保証が不要となった事例(1)

業種

建築資材を中心に食料品も取り扱うホームセンター

事例

50年以上の業歴を有する老舗企業で、地域で最も品揃えが豊富で価格競争力を有しており、財務内容も良好。
前経営者が高齢のため、息子への事業承継に向け、事業内容の改善に取り組んできた。
メイン銀行も在庫管理・収益力強化に向けPOSシステム導入等の本業支援を実施。
当社から金融機関に対し「経営者保証に関するガイドライン」を活用して経営者保証を解除したい旨の相談があった。
現状では法人と個人の資産の分離が明確に行われていないなど、ガイドラインの要件を一部未充足であったが、以下の点を考慮して新旧経営者の経営者保証が不要となった。

  • 法人と個人の資産の分離が明確に行えていないが、メイン銀行及び顧問税理士が指導を行うことで、法人と個人の資産を分離することの必要性を新旧経営者が十分に認識している。
    実際に、工場や社用車の所有名義を旧経営者から法人名義へ変更している。
  • 財務内容が良好で返済力に懸念がない。
  • 当社から適時適切に情報の開示・説明が行われ、経営の透明性が確保できており、メイン銀行と良好な関係性が構築できている。
  • 事業承継検討初期段階からメイン銀行と連携を図り、新経営者の下で事業の継続性に問題ないと判断できること

ポイント

  • 金融機関と良好な関係を構築している
  • 事業承継に金融機関を巻き込み協力関係にある
出典:金融庁「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集(令和元年8月改定版事例42より)

Case6 ガイドラインの要件を一部未充足だが、新旧経営者からの経営者保証が不要となった事例(2)

業種

ステンレスタンク、薬品や接着剤等の定量排出装置などの製造業

事例

取引先は業種を問わず900社超にわたり、業種や販売先が分散されていることから景気動向に左右されにくく、業績は堅調に推移している。
直近決算書には旧経営者及び新経営者(専務、生え抜き)に対する当社株式取得資金が計上されており、法人と経営者の関係の明確な区分・分離がなされておらず、ガイドラインの要件を一部未充足なとなっている。
金融機関からガイドライン要件に未充足である旨の説明を受け、法人と個人の一体性の解消に向けた取り組みについて以下の通り確認した。

  • 旧経営者への貸付金は今後保有株式の譲渡金で清算予定である
  • 新経営者への貸付金は毎年一定額を返済(約10年程度で完済)する

金融機関は以下の点を考慮し、新旧経営者からの経営者保証を不要とした。

  • 上記、法人・個人の一体性の解消に向けた取り組みが実施される
  • 事業基盤が盤石で業績も堅調であり、法人のみの資産・収益力で借入金の返済が十分可能と見込まれる
  • 適時適切に財務情報の開示がなされ、金融機関と良好なリレーションが構築できている

ポイント

  • 法人と個人の一体性の解消に向けた取り組みを金融機関と確認することで経営者保証解除される可能性がある。
出典:金融庁「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集(令和元年8月改定版事例44より)

Case7 金利を上乗せすることで、新旧経営者からの経営者保証が不要となった事例

業種

パソコンを中心とする中古情報家電製品の販売業

事例

直営5店舗とネット販売を行っており、業況は堅調。
金融機関は当社の成長性に着目し、仕入先となる企業紹介、財務是正アドバイス等を行うとともに、事業性評価を進めてきた。
金融機関は以下の事項を勘案し、金利引き上げることで新旧経営者からの経営者保証を不要とした。

  • 財務体質、財務基盤は強固であり、業況も堅調に推移している
  • 財務諸表等の提出にも問題がない
  • 再度代表権を持つこととなった会長は従前から社内体制の構築やガバナンス強化の必要性を認識しており、今後も法人・個人の分離が維持されるものと判断できる
  • 無担保無保証となることの信用リスクの補填として既存借入の金利引き上げ(+0.2%)に応諾を得た

ポイント

  • 経営者保証解除による信用リスクを金利引き上げという形で補填している
出典:金融庁「経営者保証に関するガイドライン」の活用に係る参考事例集(令和元年8月改定版事例46より)